【講義】13:30~15:30
エキセントリック運動の最新研究知見
-トレーニング現場に活かすための基礎と応用 -
最近の学術雑誌に掲載された論文において、”eccentric” (エキセントリック)という単語を多く目にする。筋活動様式は筋に対する負荷と筋力の関係から、負荷=筋力 (アイソメトリック:等尺性)、負荷<筋力 (コンセントリック:短縮性)、負荷>筋力 (エキセントリック:伸張性) に分類されるが、論文ではエキセントリック筋活動の特徴やそのトレーニング効果を検討した様々な研究が報告されている。エキセントリック筋活動で発揮できる最大筋力はアイソメトリックやコンセントリック筋収縮のそれよりも大きく、疲労も生じにくいという特徴がある。エキセントリック運動というと、とかく遅発性筋肉痛や長期間にわたる筋機能の低下を特徴とする「筋損傷」を引き起こすという負の側面が取り上げられることが多い。しかし、エキセントリック運動に伴う筋損傷は予防することが可能であり、エキセントリック運動トレーニングにより筋肥大や筋力、パワーの増加を効果的に図ることができる。さらに、エキセントリック運動トレーニング(例えば階段下り)はコンセントリック筋活動が主となる運動(例えば階段上り)より収縮期血圧を下げたり、インスリン感受性を高めたり、血中の脂質プロファイルを改善したりする効果が高いことも報告されている。よってエキセントリック運動トレーニングは競技力向上、健康や体力の維持、向上に非常に有効であることは否めない。講演では最新の研究知見を交えながらそのエビデンスを示し、エキセントリック運動を現場でのトレーニングに活かす方法について提唱する。
講師

Ph.D., Edith Cowan University(エディスコーワン大学、オーストラリア),
School of Medical and Health Sciences, Professor of Exercise and Sports Science
〈講師紹介〉
東京学芸大学教育学部卒業、大学院教育学研究科修士課程修了。横浜市立大学文理学部助手、理学部講師を経て大学院総合理学研究科准教授を2004年3月まで務める。この間2年間アメリカ合衆国のマサチューセッツ州立大学でDr. Priscilla M. Clarksonの元、エキセントリック運動による筋損傷の研究を行う。1995年、横浜市立大学医学部より博士号(医科学)を取得。2004年4月から西オーストラリア州のEdith Cowan University (エディスコーワン大学) に移り、2009年に教授となり、2016年より2021年まで医科・健康科学部の運動スポーツ科学部門ディレクターを務める。2022年より医科・健康科学部の博士課程コーディネーターとなり現在に至る。
エキセントリック運動の研究者として世界的に知られ、380編を超える学術研究論文を出している。そのうち約70%はエキセントリック運動に関するものである。最近のエキセントリック運動に関する著書として「ゆ~っくり座れば、一生歩ける!」(日本文芸社)、「筋トレ革命 エキセントリックトレーニングの教科書」(新星出版社)、「60歳からのエキセントリック体操」(東洋館出版社)などがある。
学生時代は陸上競技短距離(100 m、200 m)の選手。趣味はテニス。西オーストラリア州パース在住。
【講義】15:45~16:45
スポーツ現場における暑熱対策-熱中症とパフォーマンスの観点から-
近年の猛暑に伴い、スポーツ現場における熱中症発生事例は増加傾向にあります。これを受けて、競技ルールの改定や暑熱対策の重要性が一層高まっています。本講演では、暑熱環境がパフォーマンスおよび熱中症リスクに与える影響を整理し、トレーナーやトレーニングコーチが現場で実践可能なコンディショニング方法について具体的に紹介します。
講師

Ph.D., CSCS, JSPO-AT, 国際武道大学体育学部武道スポーツ研究科教授
〈講師紹介〉
専門:コンディショニング科学、アスレティックトレーニング。2005年国際武道大学大学院武道・スポーツ研究科修了。その後、国際武道大学コンディショニング研究室に在籍し、同大学トレーニング室アスレティックトレーナー、体育学部スポーツトレーナー学科助教を歴任。2012年鹿屋体育大学大学院博士後期課程修了、学術博士(体育学)。2020年より体育学部体育学科教授。同時にトレーナーチームヘッドコーチ、コンディショニング室室長も務めている。
【講義】17:00~18:00
科学的視点からみたスプリントトレーニング-スプリントトレーニングの定量化に関する試み-
様々なスポーツに欠かせないスプリントにおいて、加速力や最高走速度の大きさは非常に重要な要素であり、これまでに多くの研究者や指導者がそれらに着目した研究を行ってきた。一方で、スプリントにおけるトレーニング手法は様々であり、従来からスプリントドリルをはじめ、重りなどの用具を用いたトレーニングが行われてきた。近年の研究では、スプリントトレーニングを定量化する試みがなされていることから、本セミナーでは、それらの知見を紹介するとともに、これまでに演者が関わった研究データを交えて講演を行う。
講師

Ph.D., CSCS, 東洋大学TOYスポーツセンター陸上競技部コーチ、日本陸上競技連盟強化委員(4×100mリレー)
〈講師紹介〉
早稲田大学にて博士号を取得し、目白大学人間学部専任講師、日本スポーツ振興センターハイパフォーマンスサポート事業職員、東京経済大学特任講師、東洋大学総合情報学部助教を経て現職。陸上競技においては、2012年より日本陸上競技連盟強化委員会委員(男子短距離)、日本オリンピック委員会情報・戦略スタッフを務めている。スプリントにおけるバイオメカニクス研究を多数行っている。
日時 | 2025年7月12日(土) 13:30~18:00 (受付時間13:00~) |
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会場 | 早稲田大学 国際会議場 井深大記念ホール 東京都新宿区西早稲田1丁目20-14 ※MAP 東京メトロ東西線早稲田駅徒歩10分、都電荒川線早稲田駅3分 |
受講料 (税込) | 会員:6,600円/一般:13,200円 ・受講料のお支払いは、「クレジットカード」又は「PayPay」から選択できます。 ・決済が完了した時点でセミナー申込受付が完了となります。 |
定員 | 200名(定員に達し次第締め切ります) |
CEU | 0.4(カテゴリーA) ※欠席・遅刻・早退・途中退席があった場合、CEUは付与されません。 |
申込締切 | 2025年7月11日(金)15:00まで |
持ち物 | ・筆記用具 ・飲み物 |
キャンセル ポリシー | 【キャンセルに伴う返金について】 開催7日前(7月6日(日))までにご連絡が確認できた場合・・・お申込み時の決済先に全額返金いたします。 開催6日前(7月7日(月))以降にご連絡が確認できた場合・・・返金はありません。 【開催中止の場合】 以下の理由により開催中止となった場合、セミナー受講料は全額返金いたします。 なお、返金の対象は決済済みのセミナー受講料のみとなります。 a.悪天候、天災地変、その他の自然現象 b.交通機関など、セミナー実施に不可欠な組織、団体、個人のストライキ c.セミナー実施に影響を及ぼす新法令の発令および公官庁の命令 d.施設、機材の異常など、安全かつ円滑にセミナーを実施することが困難と判断される場合 e.伝染性感染症の蔓延 f.その他、不可抗力により主催者がセミナー実施が困難と判断した場合 |
その他 | ・当日の案内等に関する詳細は、お申込み後にマイページ→活動履歴→案内をご確認ください。 ・本イベント開催中に、主催者が撮影した写真・動画等を、NSCAジャパンが運営するメディア媒体(SNSおよびウェブサイト等)で公開する場合があります。 あらかじめご了承ください。 |